スイス人メディアアーティストpe lang の、美しい機械が見た「夢」

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インタビュー・執筆:

“動く彫刻”とも呼ばれる「キネティック・アート」は、20世紀初頭からさまざまなアーティストによって開拓されてきたアートのジャンルだ。スイス出身のpe lang(ペ ラン)もまた、エンジニアリングの知見に基づく現代のキネティック・アートを手がける気鋭のメディアアーティストと言えるだろう。彼がつくる無機質で美しい機械は、巧妙に構築された精緻かつ有機的な動きで見る者を魅了する。その美はいかにして生まれてくるのか? 今年3月、アートフェア東京2017のために来日したペ ランにインタビューを敢行した。


ペ ランの作品の多くは、モーター、アルミニウム、ワイヤー、ラバーなどの工業用パーツによって組み立てられた、美しい機械たちによって構成されている。無機質なパーツの組み合わせによって動いているはずのその機械は、私たちの予測を裏切りながら、次々と柔らかで有機的な表情を見せてゆく。

その佇まいは、彼の故郷であるスイスに根付く時計工業の歴史も彷彿とさせる。もっとも、彼が操るのは時計の歯車やムーブメントではなくMaxMSPだ。彼は多くのメディアアーティストが愛用するソフトウェアMaxMSPを使って、多数のモーターやセンサーを制御し、複雑な動きをするキネティックアートを生み出している。

それらの作品を前にするとき、さまざまなループが重なり合い、旋律のうねりを生み出していく良質なミニマル・ミュージックの音楽構造にも通じる美しさに見とれる人もいれば、その有機的な表情を生み出す物理法則を作品の中に見出そうとする人もいるだろう。

ペ ランの作品の魅力をひとつ挙げるとすれば、それは「退屈な機械」の拒絶にある。いかに高度にプログラミングされた動きであっても、ただ人間がつくりだした規則に従っているだけの機械的な動きに彼はひどく“退屈”するのだという。...continue to read