WIRED:「身体が音になる」共感覚的体験はいかに生まれたか? 水口哲也 × evala対談

インタビュー・執筆:

六本木ヒルズを中心に2月下旬から開催された最先端のテクノロジーカルチャーの祭典「Media Ambition Tokyo(MAT)」。ここで初披露された「共感覚的体験装置」と呼ばれるインスタレーション作品『シナスタジア X1 – 2.44』は、体験者にかつてない超越的な知覚をもたらし、わずか1週間のうちに大きな反響を得た。本作に携わった水口哲也、およびサウンドアーティストevala(See by Your Ears)が、See by Your Earsのディレクターでもある編集者・塚田有那のモデレートのもと行なわれた対談を振り返った。

WIRED: The "sensory body" How was synesthetic experience created? Tetsuya Mizuguchi × Evala Talk

Media Ambition Tokyo (MAT) is a festival of cutting-edge technology culture that was held from the end of February around Roppongi Hills. The installation work “Synathesia X1 – 2.44”, which is called “synesthesia experience device” presented for the first time, brings unprecedented experience of transcendence to the experience person, and got a big response in just one week. Tetsuya Mizuguchi, who was involved in this film, and sound artist evala (See by Your Ears) looked back on the interview conducted under the moderation of editor Arina Tsukada, who is also the director of See by Your Ears.


HIGHLIGHT:

「身体がメディウムになる、共感覚的音楽体験とは?

そう題されたトークショーが幕を開けた。音、光、振動などを駆使して新たな共感覚的体験を目指す、水口哲也率いる研究開発プラットフォーム「シナスタジアラボ」は、44個の振動子からなるイス型の体験装置を開発。その装置をもとに、サウンドアーティストのevalaが音と振動の作曲を手がけて生まれたのが『シナスタジアX1 – 2.44』だ。

そもそもシナスタジア(共感覚)とは、ひとつの刺激に対応する感覚が、ほかの異なる感覚をも同時に立ち上がらせる現象のこと。たとえば、音の刺激に対し、聴覚だけではなく色覚も同時に立ち上がることで、音を色として知覚する「色聴」などがそうだ。

『シナスタジア X1 – 2.44(以下、X1)』は、そうした共感覚現象の定義とは厳密に言うと異なるが、恍惚感溢れる没入的なサウンドと全身を包み込む光と振動によって、“共感覚的”な新たな体験を創出した。体験者の多くが、一種の超越的な時空間を体験したと口々に報告している。それは、「音を聴く」時代から、体がまるごと「音になる」時代への進化を感じさせる前兆だった。

MEDIA森 旭彦WIRED