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僕たちは島で、未来を見ることにした

阿部 裕志 信岡 良亮 著 
編集・撮影協力・構成・プロデューサー 森 旭彦

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Summary

「社会が変わるとき、自分たちはどこに居たいだろうか」僕たちが選んだ場所は、ニューヨークでも東京でもなく、島根県の離島、隠岐諸島にある海士町だった―――。

離島で起業。その目的は、島の「学校」をつくること。そして彼らが移住した、島根県の離島・海士町では、新しい社会のカタチを模索するための、様々な実験が総出で行われていた。
全く新しい未来への視点として「島」を見出した彼らの生き方を、冒険起業譚として綴る、島と地域と未来の入門書。

Back stage

2009年7月。僕は見知らぬ人たちといっしょに、高速道路を走る車の中にいた。「海士町」という場所に行くためだ。
当時、僕は生まれ育った京都に住んでいた。京都の人間は、僕のような端っこに生まれた者でも、比叡山の向こうは外国だと思っているものだ――なんて、もちろん、そんなことはないとしても、少なくとも、「海士町」なんて聞きなれない地名を聞いて、まさか週末に島根県まで徹夜で車を走らせるなんてことは想像できなくて仕方がない。そうだ、僕は走る車の中で、「京都府海士町」へ行くものとばかり思っていた。

おまけに車の中には、初めて会った人ばかり。中には僕と同じような境遇の人もいるけど、何やら楽しそうだ。

「島で音楽祭をつくるんだよ」

そんなことを言われても、信じられるかい?
音楽祭をつくることも、島に行くことも、まったくバカげてるほど非日常だった。少なくとも、サラリーマン編集者をしていた当時の僕にとっては――。

高速を飛ばして、車に揺られて星空を見て、僕達は夜を追い越した。そしてフェリーに乗って、海を越える。白い光に満ちた海の上、青の色彩が目に満ちていく。力強い海の風が自分を通り抜けていく。その先には本当に島があって、本当に彼らは音楽祭をつくろうとしていた。音響屋さんやミュージシャンまでいる。

その中心に、彼らがいた。
彼らはいわゆる「島の人」じゃない。
起業家だった。そして、ひとりは僕と同い年だった。

なんでこいつらは、こんなに楽しそうに、そしてどこか何かに夢中で、こんな島にいるんだ?

当時の僕は、目の前のデスクワークに夢中で、今の日本の地方が直面している、過疎化を含むいろんな問題や、人口減少などの社会問題、さらに世界規模のエネルギー問題なんかには本当に気づいていなかった。

そのことにどうしたわけか、この島に来て気づけた。
そしてこの旅の数カ月後、僕は会社を辞めて、東京へと旅立つ。

そしてもう一度彼らに会って、この本をつくることになったのだった。

Prologue

「この島で起こった小さなことが、社会を変えるかもしれない」僕たちはそう信じて、自分の未来をかけて、この島の未来をいっしょにつくる担い手になったのです。そして、僕たちの行きたい未来の姿をそこに見ることにしました。豊かな自然に囲まれて暮らす生活の中で、僕たちはこの島に自分たちの居場所を見つけ、島の人たち、島の文化から多くを学び、ここが学校のように思えました。そして、本当に学校をつくろうと思ったのです。


この本はそんな僕たちが島で見た、小さな未来の報告書です。