メディアアートと建築の可能性。「Ouchhh」が提示する、都市に侵食するアートサイエンス

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インタビュー・執筆:

1月18〜19日の2日間、「都市」をテーマとしたカンファレンスを主とするリサーチプロジェクト「METACITY」が幕張メッセの国際会議場で行われた。このイベントに、トルコ・イスタンブールに拠点を置くニューメディア・スタジオ「Ouchhh(アウチ)」が初来日。世界各地で独自性の高いパフォーマンスを繰り返し、近年は都市空間をキャンバスにアートサイエンスの挑戦を続けている。彼らのMETACITYでの講演「メディアアート × 建築の可能性」およびインタビューから、Ouchhhが提示する、公共空間におけるアートの関係性を考察する。


千葉という都市は、海外の、とくにSFファンからは特殊な視線を向けられているのをご存知だろうか。「千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルーズ)」。作家ウィリアム・ギブスンの傑作SF小説にしてサイバーパンクの金字塔『ニューロマンサー』の、「港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった」で始まる第一部がそれだ。

今回、千葉で開催されたイベント「METACITY」のコンセプトは「思考実験とプロトタイピングを通して、ありえる都市の形を探求するリサーチプロジェクト」。今後も多角的な展開を予定しているプロジェクトのキックオフとしてカンファレンスが開催された。出演者には千葉市長をはじめ、noiz architectsの豊田啓介、DOMMUNEの宇川直宏、アーティストの長谷川愛などがBound Bawでもおなじみの顔ぶれが登壇。こうした企画が千葉市後援によって成り立つことには、現代の時代の空気を感じざるを得ない。

中国の「遺伝子操作ベビー」の誕生、AIが人種差別を助長する可能性など、気づけば『ニューロマンサー』が描くデッドテックの世界の片鱗を、すでに私たちはこの社会のいたるところに見出すことができる。

もはやこの世界はどこまでが架空のSFで、どこからが現実サイエンスとして説明できるのか。線引きが極めて難しく、説明がつかない「謎」に、私たちはこれから幾度も出くわしていくのだろう。

――The most beautiful thing we can experience is the mysterious.
(私たち人間が経験するもっとも美しいことは、「謎」そのものである。)

Ouchhhの講演「メディアアート × 建築の可能性」は、20世紀を代表する科学者、アルベルト・アインシュタインの一節を引用しながら始まった。

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